2004年4月24日

娘の誕生!!

 まさに手術が始まる、という時には、本当に麻酔が効いてなかったらどうしよう、とドキドキしたけれど、事前に聞いていたとおり、肉を押されたり引っ張られているような感じはあるものの、痛みは全く感じられなかったのでホッとした。
 たまに先生の指示などが発せられるだけで、後は黙々と手術は進んでいく…。痛みはなかったが、切る時にはぐっぐっと押される(力を入れて切ってるのか?)感じがした。
 途中で手術に必要な何か(←よく分からなかった)がないということでちょっとだけ緊迫した感じがあったが、やがてその”何か”は見つかったようで、その場は収まった。


 どのくらいたった後なのか、副院長先生の、
 「赤ちゃん出ます」
という声がし、それまでよりさらにぐっぐっと下腹を押されるような感じがした。
 看護婦さんに何かを言われたような気がするけど今となっては思い出せない。
 そして、静かに赤ちゃんは取り出された。
 頭の上の看護婦さんが
 「8時…11分です。」
 と告げた。

 娘の誕生である。
 
 その瞬間は全然実感はなかった。まだ産声がしなかったからだ。
 取り出された娘はさっと新生児をすぐに入れる装置のところに連れられ、鼻とかに詰まった羊水を吸引されていたようだった。(←でも後でよく考えてみると、もしかするとこの吸引の音は私の子宮の中をきれいにしている音だったのかも?今となってはもう分からないですが。)
 私はドキドキした。
 そして数秒後…

 …ンギャ、ンギャァー!

 元気な産声が聞こえた。
 『よかった、無事だった』
 そう思ったとたん、自然に、瞬時にぶわっと涙が出てきた。
 これには『え?』って感じだった。私は映画以外の実生活で”感動して泣く”ということがほとんどない人なので、自分では泣くとは思っていなかったから。しばらく涙が止まらなかった。両腕は動かないように固定されて涙をぬぐうことができなかったのでそのまんま流れるにまかせていた。
 
 「閉じます」
 赤ちゃんが出たので今度はお腹を閉じるらしい。もう赤ちゃんは出たから私は安心しきっていた。それが甘かったことを次の瞬間に思い知らされた。
 またもやぐっぐっとお腹を押されるような感じがした。ぼーっと感動に浸っていた私。
 
 な、なんか息が苦しい…!???
 気のせいかと思い落ち着こうとしてみる。
 しかし息苦しさは消えない。
 なんか息が苦しいです……!!」
 怖くなった私は、看護婦さんに訴えた。苦しくて声を出すのもやっとだった。
 先生も異変に気づき、その場は一気に緊迫した。
 どうも血圧か何かを測定する機械の設定がきちんとされていなかったらしく、一定値になると音が鳴るようになっていたはずが、なぜか作動していなかったようだった。とにかく苦しくてあまりよく覚えていないが、いつも淡々としている副院長が看護婦さんに
 「上げて上げて!違うそこじゃない!早く早く!」
 と慌てた声を出していたことを覚えている。多分かなりヤバイ状況で、問題ありだったのではないだろうか…?(汗)
 はあはあと一生懸命呼吸をしても息苦しかった。
 『ここまできて死にたくない!!』
 と思った。(そう思ったぐらい危機感を覚えた)
 看護婦さんが先生の指示で何か機械を操作し、「大丈夫、深呼吸して」と言ったのでそのとおりにしていると、やがて息苦しさが消えた。


 また落ち着いた雰囲気が戻り、また静かに時が流れる。

 そんな時間もつかの間-----。

 『んん?』
 覚えのあるいや~な感覚がした。数ヶ月前まで頻繁にあったこの感覚…。
 吐き気である。
 「気持ち悪いです~~……」
 看護婦さんに言うと、看護婦さんはさっと私の顔を両手で持って横を向かせた。先生が「どうした?」と看護婦さんに尋ねる。看護婦さんが「気持ち悪いそうです」というと、
 「気持ち悪い?今戻してるから内臓とか触ってるからねぇ。もう少し頑張って」
 と先生。でも、気持ち悪さに答えることもできず、ただ笑顔を作ることで精一杯だった。
 看護婦さんに吐いていいよ、と言われるまでもなく、こらえきれずに私は戻してしまった。まさか手術になるとは思っていなかったから夕食の後プルーン食べてしまったからそれがいけなかったのか…。吐くたびに看護婦さんがティッシュで拭いてくれる。「そうそう、吐き方上手」と看護婦さんに言われた私。そりゃぁ、つわりの時にこれでもか!ってぐらい吐いたからねぇ(^_^;)しかしほんとに苦しかった…。