2004年9月15日

常位胎盤早期剥離のこと

 (◆2006/4/20:一部加筆)

 私自身、こんなに大変なお産になるとは思ってもみなかったです。今思い出しても、本当に母子ともに無事でよかった、としみじみ思います。
 現在妊娠中の方、少しでも膣からの出血があったら、「このくらい平気かな」と思わず、必ずすぐに産婦人科を受診してください。今回のことで本当にこのことを実感しました。

 私がなった「常位胎盤早期剥離」という病気は妊婦にとって非常に恐ろしいものです。
 胎盤は、お母さんのお腹の中にいる赤ちゃんに唯一、『酸素』と『栄養』を送る、いわば『命綱』です。通常は赤ちゃんがお母さんの体内から娩出されて役目を終えてから体外に出てくるはずなのですが、この病気は、赤ちゃんがまだお母さんの体内にいるうちに何らかの原因で胎盤がはがれ、栄養はおろか酸素もいかなくなってしまう恐ろしい病気です。剥離が始まると事態は一刻を争います(剥離の程度にもよりますが)。対策は少しでも早く赤ちゃんを帝王切開で外に出すことしかありません。最悪の場合は赤ちゃんは亡くなってしまいます。長い間酸素がいかなくなってしまうと、生きて生まれたとしても障害が残ってしまうこともあるそうです。
 しかも体内で大量出血すると母体にも命の危険が及びます。 
 妊娠中毒症の人がなる確率が多いとのことですが(他に外的要因もあるらしいですが)、はっきりとした原因はまだ分かっていないようです。現に私も原因不明です。
 この病気は、最初の妊娠に関わらず、何人目の子でも発生します。
 だから、「1人目に何事もなかったのだから、次の子も大丈夫」という保証はどこにもなく、常に誰にでも起こりうると思った方がいいと思います。
 まあ、あまり恐れすぎてマタニティライフをびくびくして過ごすのもどうかと思いますが、ちょっとした体の変調も甘く見ないことが必要だと思います。
 ちなみに、以前に常位胎盤早期剥離になった人が、次の妊娠でも常位胎盤早期剥離になる確率は、5~10%だそうです。高い確率ですよね…。

 私の幸いだった点は、剥離が一部だったこと(といっても出産後取った後の胎盤は一部に血の塊があり、すごい状況だったそうです。一部が何度かはがれたりついたりしていたのではないかということでした)、そしてなにより入院していたこと。ひどい状況になった時でも、すでに入院していたことですぐに先生に診てもらえ、早いうちに対処できたから今の結果があるのだと思います。出産後、医者に何度も「入院していて良かった。入院してなかったら間に合わなかったかもしれない」と言われました。それほど事態は切迫していたということだろうと思います。あんなにいやな入院だったけれど、入院しててよかった、今では本当にそう思います。

 何度も言いますが、ほんのちょっとしたことでも、気になることがあれば産婦人科の先生に必ず診てもらってください。何度も受診することを恥ずかしいとか申し訳ないとかいうことを思うことはないのです。(先生に感謝することはいいですが)
 だって、大切なわが子の命と自分の命がかかっていることですから。
 「こんなことぐらいで受診するのも恥ずかしいから」、「申し訳ないから」、もしくは「面倒だから」、なんて言って受診しなかったせいで、大切な命を失ってしまっては、後で悔やもうにも悔やみきれないですから。 
 私もちょっとした出血があるたびに何度も産婦人科を受診していたので、ある時主治医の先生に「すみません、何度も何度も…」と言うと、先生は「いや、ちょっとでも変わったことがあるのなら来てくれた方がいいんです」と言ってくれましたよ(ちょっとぶっきやぼうなところもある先生でしたが、やるべきことはきちんとやる先生でした)。
 心ある産婦人科の先生なら、みんな同じ気持ちなんじゃないかなあ、と思います。


【追記】(05/05/19)
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